孤島脱出ゲームと思いきや、夕木春央 十戒

※記事内のリンクには広告が含まれています。
夕木春央 十戒
夕木春央の作品で、
前作の方舟と同じ感じで発売されていたので、
うっかり手に取ってみた。
今回は孤島殺人事件ミステリね。
毎回舞台設定は往年のミステリ定番手法なんだけれど、
今回もちょっとひねった制約ミステリに仕立て上げられている。
おじさんが残した無人島に作られた別荘と作業小屋、
そこを開発してリゾートにしようと提案され内見に行く不動産屋や設計会社、
そんな登場人物がその島で見つけてしまったものは、
大量の爆発物と犯人からの十戒と言われる司令だった。
それにしても”十戒”と言う割には、
旧約聖書ばりに詩的でも無く具体的で、
スマホを封印しろだの5分は部屋で一人にならないと行けないだの、
少々具体的過ぎやしないかと。
それに従順に従うところは、ある意味設定に逆らわない前提のし掛け話である事は否めない。
ミステリ小説で、
そう言う前提条件の下で人物が動くことがストーリーを作り上げるのは分かるけど、
人間はそうそう思い通りには動かないものだよね。
ところがどっこい、
そう言いたくなる仕掛けの危うさは、
この小説の中ではラストに向けてのカモフラージュになっている。
いやまさか、
最後の最後でそのセリフが出て来るなんてね。
つまるところ、
前作「方舟」とこの「十戒」は連作として読んでもらうと衝撃度が倍になると言うことで。


